戦姫絶唱シンフォギア × 仮面ライダーオーズ クロスオーバーSS(二次創作小説)

[作品トップ&目次]


「ここは何とか片付いたかな」

 結局アンクの制止を振り切って我を通し変身した映司は、オーズの力でもってノイズを倒した。
 しかしそれは決してオーズの力だけではできなかったことだ。

「ありがとう、助かったよ」

 映司は変身したまま響へ握手を求めるが、彼女はそれを冷たく弾いた。

「え?」

「どうでもいい」

 そして彼女は映司達を無視して走り去ってしまう。
 どうやらあまり友好的な性格ではないらしい。

 そして耳を澄ませば、彼女が向かった方からはまだ戦闘音らしきものが続いている。

「あっちでも戦っているのか」

「おい待て映司!」

「何? 俺達も早く向かわないと!」

「勝手に俺も含めやがって」

 そう愚痴っても映司が向かえばアンクも付いてくる。ある種の信頼が映司にはあった。

「ノイズが出現する度、そいつらが現れて倒していた」

 どうやらアンクは映司よりも早くにこの世界へやってきて、情報収集をしていたようだ。
 真木の発言だとグリードホルンが起動したのはついさっきだったはず。
 いつどうやってこの地へ来たのかは気にかかるが、今はそれを追求している場合ではない。

「それと奴らの歌にはノイズへの干渉力を上げる効果がある」

 つまりグリードに対するオーズのように、彼女達はノイズの脅威に対抗できる希少な存在なのかもしれない。

「達ってことは他にもあの子みたいな力を持った人がいるの?」

「俺が知る限りもう一人な。恐らく向こうの戦闘音はそいつだろう。俺がわかっているのはそれだけだ」

 ならばそっちに加勢すればより人々の被害は少なくて済む。今はそれだけわかれば十分だ。

「これ使え」

「ありがとう、アンク」

 アンクの状況判断とメダルの選別はかなり的確で頼りになる。
 追加で投げ渡された二枚のメダルを受け取り交換した。

≪タカ! カマキリ! チーター!≫

「それじゃ先行くよ」

 チーターメダルの効果でオーズの走力が大幅に向上し、先に行った少女を追いかけるように戦闘音の方へ駆け抜ける。
 元々そう遠い距離は離れてなかったようで、程なくもう一つの戦闘地域へ追いついた。

 ただしそこは病院のようで、車椅子を必死に走らせる人や、病院服を来た人達が看護師に支えられて逃げようとしている姿があちらこちらに見える。

「これ以上、手は出させない!」

 病人を支えた看護師に迫るノイズを狙い、チータの加速に任せてカマキリメダルの刃を袈裟に裂く。
 その場でターンしてもう一刀で二匹目を真横に振り抜くよう斬る。
 オーズの速度に対応できないノイズ達はそれで炭化していった。

「よし! ノイズ相手でも使いやすいな、これ」

 その姿を見ていたのは、先程の少女とは違う、青く長い長髪で青と白のアーマーを着込んだ少女だった。

「あなたは……!?」

 もう一人の装者、風鳴翼にとって響の参戦は想定内だったが、追加で現れたもう一人についてはまさに青天の霹靂だった。

「助けにきました! とにかく今はこれ以上犠牲者が出ないように、俺の説明は後で!」

「……わかりました。ならば私はこちらのノイズを片付けます」

「じゃあ俺はあっちを!」

 明らかにシンフォギアとは別物のフォルム。何かの完全聖遺物だろうか。
 いや、今はそんなことに割く時間すら惜しい。

 少なくとも彼は今しがた市民の命を救ったのだ。
 それに僅かなやり取りだけでも、勝手に現れて勝手に戦うだけの響よりは協調性があるのも伺える。

 何よりノイズ二匹を倒した腕前は、幾度となく実戦を経てきた者のそれだ。
 防人として己を鍛え続けてきた翼だからこそ、それはハッキリと感じ取れた。
 ここは彼と協力して戦うべきだろう。

「そう、私は一振りの剣として、己が使命を果たすのみ!」

 その場で逆立ちし、踵から伸びた刃でノイズ達を斬り裂く『逆鱗』を見舞いながら前進する。

「人の世を乱す悪鬼は、防人の刃でもって斬り伏せるッ!」

 人々の平和を守る決意を口にし、青のシンフォギアを纏う少女。
 その動きは映司の目から見ても洗礼されたものだった。

「もう一人も女の子なのか」

 しかし彼女も恐らくは十代で、二人共大きくは変わらない年齢だろう。
 この世界を守る二人の戦士がどちらも年相応の面影が残る少女だというのは、映司にとって驚きだった。

「それに、数も多いな」

 ノイズとヤミー。二つは完全に別物で色々と相違点はあるが、実際に対峙して思うのは少女達の歌無しでは対抗できないという現実と共に、物量の厄介さだった。
 一体あたりの戦闘力は大部分が成熟していないヤミー程度だが、数を出すことを前提とした屑ヤミーだってここまでの量はほとんどなかった。

 そして少女達の戦いはその物量差を徐々に覆していく。
 彼女らの戦闘技術は効率良くノイズを狩ることを前提に組み立てられたものであると、見ていればすぐにわかった。

「この!」

 チーターの足による連蹴りで吹き飛ばしカマキリの刃で切る。
 映司もメダルの力を十分に使いこなしてはいるが、二人に比べて効率は劣っていた。
 単純にノイズ相手の相性と練度の差だろう。

「まだ、あんなにいるのか……!」

 周囲に居た数十匹を仕留めても、奥の方からまたゾロゾロと団体が現れる。これではキリがないし、こちらのスタミナも無限ではないのだ。

「それならこっちは……」

「おい映司!」

 やはりというべきか、しっかり追いついてきたアンクが新たなメダルを投げ渡す。
 それは映司が考えていたものと全く同じものだった。

「あまりヤツらに手の内は見せたくなかったが、仕方ない。そいつで一気に片付けろ」

「わかった!」

 奴らとは多分少女達のことだ。
 頭が切れるが故に、少女達とその背後にあると思われる組織を警戒しているのだろう。
 しかし映司にとって一番大事なのは、手が届く場所にいる人達を助けるという意思。

 新たにセットし直したメダルは三枚全てが緑で統一されていた。
 緑のコンボに対応して、スキャニングされたベルトが新たな歌を奏でる。

≪クワガタ! カマキリ! バッタ! ガータガタキリッバ! ガタキリバ!≫

 昆虫を司る緑のメダルによる、ガタキリバコンボ。
 オーズの真の力とも言えるフォームの一つ。

「姿が、さっきと変わってる。え……?」

「な、何だアレは!?」

 二人の少女もガタキリバコンボのオーズを見て驚愕していたが、まあそれも仕方ないだろう。

 ガタキリバの特殊能力でオーズの体が次々と分身していくのだから。
 オーズ一人だと効率で負けるのならば増やせばいい。
 二桁に達してもそれは分身は止まらず、それも一人一人が全て実体でバラバラに戦いノイズを攻撃していく。

「これで終わりだ!」

 大量のオーズが揃って頭を強調するようなポーズを取った。
 後から押し寄せてくるノイズ達を、ガタキリバの半数がクワガタヘッドによる電撃で押し留めながら撃破していく。

『スキャニング・チャージ!』

「セイヤァ――!」
「セイヤァ――!」
「セイヤァ――!」
「セイヤァ――!」
「セイヤァ――!」

 残る半数は一斉に跳び上がり、蹴撃による雨を降らせる。
 衝撃で巨大な爆発を起こしながら、大量の炭が空を舞った。

「これで今度こそ、全部倒した、よね?」

 敵を殲滅し一人に戻ったオーズは変身を解き、少しばかりふらつく頭を抑えて周囲を見渡す。
 コンボの中でも唯一分身が可能で、紫のメダルを除けば最大の広域殲滅力を持つガタキリバ。
 しかし精神に与える負担も大きければ、受けたダメージは分身全員が共有するという大きなリスクも同時に存在する。

 そのため長期戦はほぼ不可能なのだが、今回みたいな弱い相手を一気に殲滅するのならば、結果的に負担も最小限に済むだろう。
 というのが映司とアンクの共通した判断だった。

「あなたは、一体……」

 一人でも多く戦力がほしいと協力した翼だったが、いきなり大量に分身してノイズを全滅させた能力を見せられては、流石に呑気なことばかり言ってられない。
 忍者には一人心当たりがあるものの、流石ここまでの芸当は無理だろう。

 戦いを終えた彼は意外な程に爽やかで人懐っこい笑顔を浮かべて手を差し出した。

「この力はオーズって言うんだけど、ちょっと複雑な事情があってね」

 これだけの力を個人で保有しているとは思えない。
 オーズと呼ばれる力が完全聖遺物かそれに類するものなら、相応にデリケートな対応が求められる。
 できれば本部へ招いて事情を聞くべきだろう。

「とにかくまずは自己紹介をしよう。俺は火野映司。一緒に戦ってくれてありがとう。えーっと」

「風鳴翼です。こちらこそ、ご協力ありがとうございました。お陰で被害は最小限に抑えられました」

 それは本心であり、防人としては感謝しかない。
 翼もまた笑みを返して、彼の手を握る。
 わかるのは名前だけ。何者なのかは全くもって不明の相手だが、一般市民を第一にして戦うその姿勢と彼の笑顔は、信用に足るだけの安心感を与えた。

「あれ、もう一人の子は?」

「彼女は立花響。いつもノイズとの戦闘に現れては協力もせず勝手に戦場をかき乱し、ことが終わればどこぞへ消える」

「仲間じゃないの?」

「同じ装者ではありますが、到底仲間と言える間柄ではありません」

「おい映司、いつまでそうしてるつもりだ。俺達も帰るぞ」

 もう一人金髪に染めた男は態度悪くこちらを睨んでいる。
 映司と違い、というよりは響に近しいタイプのようだった。

「そうもいかないだろ。ごめんね、あいつはアンク」

「おい、勝手に教えるな!」

「いいだろ、名前くらいさ」

 この二人、思ったより仲はよくないのだろうか?
 しかし映司の方は喧嘩腰の相手に対して柔軟に受け流しているという感じで、対応そのものは手慣れている。

「すみませんが詳しいお話をするため、我々に同行していただけますか?」

「だそうだけど、いいよね、アンク」

「だから勝手に決めるな!」

「だけどこれからどうするにしても、情報は必要だろ? アンクだって、だからわざわざノイズがいる危険な場所にいたんじゃないの?」

「ふん、相変わらず余計な知恵は回る奴だ。仕方ない、行くぞ」

 映司は的確にアンクを説得したらしく、これ以上の反発はなかった。
 協力するというよりは利用してやる雰囲気ではあるが、会話に応じる分だけ彼女よりはマシかもしれないと翼は思う。

「それではご案内します。私達……え?」

 思わず翼の言葉が止まる。
 軽くふらつきながら頭を抑えていた映司の体が、いきなりぐらりと揺らいでその場に倒れてしまった。

「しっかりしろ映司! これは、コンボの影響か? クソ!」

「大丈夫ですか? コンボとは……?」

「死にはしないが、休ませる必要がある」

 慌ててアンクが支えたものの、既に映司の意識はない。
 呼吸はしており、アンクの言葉通りなら命に別状はないようだ。
 翼はギアを解除すると、通信機で仲間へと呼びかける。

「協力者が戦闘の負荷で倒れました。至急搬送と保護をお願いします」

『了解。すぐに向かわせる』

 返ってくるのは司令官である男の声だ。

 アンクは座り込んで映司を片腕で抱きながら、異形の腕で自分の顎を撫でて考えるような仕草をしている。
 彼が何を考えているのか翼にはわからない。

 だが、これだけはかる。
 人当たりが良く異国情緒のある衣装の不思議な男。
 ノイズとは違う異形の腕をした金髪で不良じみた雰囲気の男。

 この二人が一筋縄ではいかない存在であり、同時に我々の今後を大きく左右する可能性を秘めていると。



大量のノイズにガタキリバコンボはやってみたかかったことの一つでした。
コンボでまた映司が倒れたのは、設定とは別にストーリー構成上の事情としては、設定上イグナイトモジュールが使えないことに対するバランス調整的なものです。
後、コンボは少なくともTV版は全て登場予定ですよー。