僕は、ずっと僕だ。
 産まれてから今日まで、ただ僕でしかなかった。

 僕は僕の人生を生きてきた。
 ただただ、生きてきた。
 ただ、生きてきただけだ。

 多くの人と関わった。
 僕以外の人は、僕よりもっと多くの人と関わったのだろうけど。
 そして誰にも大した影響なんて与えられなかった。

 薄っぺらい人生だと思う。
 不器用だからと言い訳をして、自分で薄め続けた人生だから。
 今も薄め続けている人生だから。

 何かをする前に、結果だけを妄想して。
 それはとても楽しいけれど、それだけでは何も掴めやしない。
 スタートラインに立ってみた。
 とたんに楽しい妄想は、壁だらけの現実にすりかわる。

 成功した人を見て羨む。
 もてはやされる人に嫉妬する。
 自分は認められる努力すらしていないくせに。

 ああ、きっとこれが僕で、僕は僕なんだ。
 僕はこのまま死んでいく。何も残せず死んでいく。
 妥協と浅い快楽に浸かって、死ぬ寸前に後悔する。
 どうして、何もしてこなかったのだろうと。チャンスはいくらでもあったのに、と。

 わかっていてもいても、動けない。
 だって僕は僕だから。
 誰にも爪痕すら残せずに、消えていくだけの僕だから。

 そろそろお別れを。
 告げる人もいないけど。
 誰に告げればいいのかわからないけど。
 さようなら。