シャルルマーニュ王の聖剣

中世ヨーロッパの英雄伝説『シャルルマーニュ物語』で、主人公であったシャルルマーニュ王が所有していた聖剣です。

ジョワユーズ【ファンタジー創作・小説の設定資料集】
出典:世界の剣と日本刀の比較

この剣の名前はフランス語で『Joyeuse』という綴で、直訳すると『陽気』という意味となります。
日本語表記ならば、ジュワユース、ジュワイユーズなどといった綴りのバリエーションが存在します。

シャルルマーニュ王自体が非常に有名であるため、彼が所有していたこの剣も、多くの物語や作品で描かれています。
その中でも、特に『ジュワユーズ』という表記が広く使われているのが現状でしょう。

文学者トマス・ブルフィンチ氏による『Legends of Charlemagne』や『Bullfinch’s Mythology』での言及によれば、このジュワユーズは、ローランの剣デュランダルや、オジェ・ル・ダノワの剣カーテナと同じ素材で鍛造されたとされています。

そしてこれらの剣とジュワユーズを区別する特徴として、その柄頭には聖槍が取り付けられていたという点が挙げられます。
ジュワユーズには魔力が宿っており、一日に三十回以上も色を変えるという伝説も残っています。ゲーミングPCかな?

それに『ローランの歌』では「これに勝る剣はなし」と評されており、事実上シャルルマーニュ物語内で最も強力な聖剣と呼ぶことができるでしょう。

シャルルマーニュ物語も世界的に有名な物語ではありますが、同じ主人公の聖剣だと日本だとアーサー王伝説のエクスカリバーには知名度と逸話でどうしても見劣りします。
エクスカリバーは有名過ぎて新鮮味がないので、あえて少しマニアックな武器を元にしたいならジュワユーズは使えるかもしれません。

また聖剣としての逸話の有名さだけで見るなら、同じシャルルマーニュ物語内でもデュランダルの方が上かもしれません。

ジョワユーズは実在している?

フランスの歴史で国王の王権を表現する意義を持つ剣として、ジョワユーズは数多くの絵画、中でも特にフランスの歴代国王の肖像画などに描かれ続けてきました。
日本だと『草薙の剣』に匹敵する儀礼や政治的な象徴と言えるでしょう。
(ただし、既にフランス王家が存在していないので、その意味は失われています)

そもそもシャルルマーニュ(カール大帝)は実在した人物です。
上記で書いた通り、シャルルマーニュの絵画にもジュワユーズは描かれていました。

しかしながら、問題点が一つあります。
それは、このジュワユーズが現在どこに存在しているか、あるいはどのような形で存在しているのかについて、明確な情報がないということです。

これには、いくつかの説が存在します。

・ナポレオンの戴冠式で使われた後、フランスのルーヴル美術館に移管された説。
・フランスのサン=ドニ大聖堂に保管されている説。
・オーストリアのウィーンにある帝国宝物殿に保管されている説。
・シャルルマーニュの死後、その亡骸と共に埋葬された説。

現在ジョワユーズはルーヴル美術館に展示されていますが、これは美術館自体がその真偽についての明確な回答をしていません。
ナポレオンが戴冠式のために作らせたレプリカで、本物はフランス革命時に行方不明になった説もあります。

創作をするなら、ジュワユーズの行方は設定を考える時に使いやすい要素ではないでしょうか。

フランスにおいては国王の王権を象徴する剣として、歴代のフランス国王の肖像画など多くの絵画に描かれている。
そもそもシャルルマーニュ(カール大帝)は実在した人物だ。
少なくともジュワユーズか少なくともそれに該当する剣は存在していた

けれどジョワユーズが現在どうなっているかについては諸説ありはっきりしていない。

シャルルマーニュの亡骸と共に埋められている
サン=ドニ大聖堂に保管されている
ナポレオンの戴冠式に用いられたのち、ルーヴル美術館に移された。
ウィーンの帝国宝物殿(Imperial Treasury)に保管されている
儀礼的、政治的な意味合いからすれば日本の草薙の剣と同様にフランスの国王が所持している剣が本物のジョワユーズであるとも考えられるが現在ではフランス王家が存在しないため儀礼的、政治的な意味での本物は存在しない。

現在も同美術館で展示されているが本物かどうかルーヴル美術館自身が明言していない。
また、ナポレオンが戴冠式で用いた物が本物かどうかも不明でありナポレオンが作らせたとする説もある。