今回は自分の小説作品やブログをより多くの人に広めることを謳うヒトイス(hitois)に、実際に登録して使ってみた評価をまとめた。

ヒトイスというサイトの存在は、前にTwitterでフォローされて知っていた。
それにサイト説明をざっと読んでちょっと興味が沸いたのと、人間椅子みたいなネーミングセンスもイカしているっ! と内心思っていたサイトだ。
(決してそういう意図の名前でもサイトでもない)

そして昨日、所属している小説書きグループの仲間からDMが来て気になっているとお話があったので、これは丁度いい機会だと登録。
軽く弄ってみたら、正直思った以上にダメダメだったので触った感触を素直な気持ちで書き連ねる。

ヒトイスとはどんなサイト?

ヒトイスとは自分のポータルサイトを無料で作成できるサービスだ。
と書くと書いても理解できる人はそういないと思うので、もうちょっと噛み砕いて説明しよう。

ヒトイスには自分専用のページが作れて、そこのトップに最新のアクティビティが表示される。
このアクティビティにはヒトイスでの投稿の他、ブログやTwitter、小説家になろうの投稿報告など様々な情報を載せていくことが可能らしい。
とりあえずブログは試したが、その感想は一旦後回しにしておく。

またヒトイス自体にもブログ機能が搭載されているので、個人ブログを運営しつつ自分の創作物や様々な情報発信ができるサービスだ。
逆にTwitterを登録すれば、書き込んだブログ情報を自動でツイートしてくれる。

作成されるサイトがTwitterと同様に、自分をプロデュースするための情報発信がメインなのでできる仕様であり、これは結構魅力的だ。
特に小説書きやブロガーは、読者に一つの作品(記事)を気に入ってもらうだけでは後に続かない。
自分のファンを作って常連客を付けていくことが重要だ。

Twitterで物書きクラスタは山のようにいるが、その多くが自分の情報を発信するためだけの利用で、他人の作品には見向きもしないケースが多い。

これを解消する方法として、ヒトイスではSNSにはないコミュニティ作成機能が用意されている。
そこにSNSも含めた各媒体を利用して登録者を集めていけば、トピックを作成して他のユーザーの質問に答えたり、小説技術などの情報交換をしたりする場が作れるのだ。

つまり自分を中心とした交流の場がTwitterより明確に構築できて、これは中々魅力的な機能だと思った。
コミュニティが活性化すれば私のページに対して興味を持ってくれるユーザも増えて、自然にアクセや作品のファン増加にも繋がる。
健全なサイト育成であり、私がヒトイスに登録した最たる理由でもある。

だが、この夢はヒトイスの残念さを体験した結果、儚い夢と散った。

UIがしょぼくて使い勝手も悪い

デザイン性の欠如

私はWebプログラマでもあり、このブログも一部自前でプログラムを組んでカスタマイズしている。
そういう専門的な目線から見てヒトイスの構成は首を傾げざるを得ない。

ヒトイスのサイトデザインは非常にスッキリしている。
良く言えばシンプルだが、悪く言うとショボい

デザインセンスが悪いというかデザイン性がない。
ヒトイスを使用するのは自己のブランディングが目的だ。
そして人がブランディングを行う際に重要視するのは、まず見た目ではないだろうか?

人が本気で自分を売り込む際、まず第一印象に気を使うのは当たり前だ。
そこを考慮してないこのデザインは、ブランディングを行う上で結構な問題だと思う。

そして見た目はごくシンプルなヒトイスだけど、それに反してサイトの使い勝手はかなり悪い
デザイン性を犠牲に使いやすさを求めたとか、そんなことは全然ない。

ログインすると直接自分のページにコンテンツを追加できるが、コンテンツ情報がズラーッと縦一列に並んでいて説明らしい説明もない。
どれがどういうコンテンツなのか非常にわかりにくい。
シンプルなUIなのにわかりにくいというのは、かなり痛い構成上のミスだ。

ログイン時に他のユーザが画面が確認し辛い

ヒトイスにはブログのような管理用の画面がない。
その代りにログインと未ログインでコンテンツ表示が変わり、クリックした先も管理者用になる。
そして情報を更新しても未ログインのユーザーにどのように映っているのか、そのままでは正しくわからない。

確認したければ別ブラウザ(もしくはChromeのシークレットモード)を立ち上げるか、一度ログアウトする必要がある。
私もそうだったが、他の登録者ページを見たことのない人は、最初にログイン後の画面を見るだろう。
ヒトイスに慣れていない人だと、ユーザにも同じ様な形式で見えているのだと勘違いしても不思議はないような状態だ。

何故多くのブログに専用の管理画面があるのか考えてみてほしい構成だった。

不要なアクティビティを削除できない

ヒトイス内のブログ情報は削除できるが、外部取得してアクティビティに表示された情報は削除できない
Twitterで言えば一度したツイートしたら二度と削除できない状態に等しい。

たとえアクティビティを表示している外部サイトとの連携を止めても、一度表示されたものは残ったままだ。
そして同じサイトともう一度連携すれば、既にアクティビティに表示されたものと同じ情報がまた表示されて重複する。
これは後術するバグと相まって中々の破壊力を伴う。

内部の処理面では今どきのUIではなく、10年くらい前の処理方法に近い。
そのため全体的に挙動がモッサリしている感じだ。
画面構成はブログとSNSを合わせたようなイメージだが、どちらも挙動はどんどんスタイリッシュになっており、ヒトイスはそれらに置いていかれている。
製作者の人はWikipediaを感銘を受けて開発したらしく、あえてこの画面構成にしている可能性も少なからずある。

結果としてデザインも操作性もシンプルと言うより世代が古くバージョンアップされてない印象だ。

自分の更新情報が強制でヒトイスアカウントにツイートされる

ちなみにアクティビティ表示以外にも強制されるものがある。
それがTwitter連携だ。
Twitterと連携すると、どうにも自動で投稿情報をつぶやくようになる可能性がある。
恐くて実査には試せなかったのが申し訳ないところではあるけれど、そういう設定ページが有るのだ。
そして『ツイートしない』と設定する部分がない。完全につぶやく前提となっていた。

しかも自分のアカウントと連携しなくても、ブログのアカウントと連携すれば自動でツイートが行われた。
Twitterの何処とも連携していないのにだ。
その先はなんと、ヒトイスの公式アカウントにである。

完全に無断連携&無断ツイートだ!
あるいはツイートさせない設定方法あるかもしれないけれど、私は探してもわからなかった。
デフォルトで使用者の関知しないアカウントから自動ツイートは問題だろう。

これ私はたまたま運営アカウント見たから気付いたけど、そうじゃないと知らぬ間に勝手にツイートされていて気付かない人が普通にいるんじゃなかろうか。
テストとして試しに何か更新しても、それが公式アカウントから発信されてしまう。
安易に挙動も試せないとは。

目に見えるバグが放置されている

私は元々小説家になろうの情報やブログを連携させることにより、私の記事や作品を収集させまとめようと考えていた。
そうしてコミュニティを媒介にして、ヒトイスのページに人が集まるようになれば、そこからアクセスを流し込んでいく集客ページとして完成する。

だが、ここで超大きな問題が発生した。
ヒトイスはブログを連携させると、自動でRSSから記事情報を取得しアクティビティに表示する。
実査に連携してみると、確かに最新情報が取得されて掲載されるようになった。

ただし、何故か掲載されたのはブログの最新コメントだった。
二つブログを持っているので、念の為二つとも連携したが、どっちも何故か最新コメントがアクティビティにこんにちはしたのである。

もし私が自分で一から構築したブログや、めちゃくちゃマイナーなレンタルブログを使用しているのなら、不可思議な挙動をするのも理解できる。
しかし、このブログはWordpressというかなり人気かつポピュラーなブログシステムである。

不特定多数のブログを連携してRSSを表示することを前提としたシステムなら、Wordpressは確実に代表的な一つとして含まれる。
(開発者もhioisを推す理由の一つとしてWordpressの名前を出している)
にもかかわらず、このバグが生じているのだから、明らかなデバッグ不足である。

これがここまで放置された理由はデバッグ不足で、しかも使用しているユーザ数が少ない事実がわかる。
調べると5~6年は運営しているみたいなのだけどなあ……。

なお、何の冗談かと原因調査のため何度かブログを連携し直した。
そして先に解説した削除ができず連携の度に表示が増えるという、問題三連星によるジェットストリームアタックを受けたのだった。

他にも管理画面なのに、管理メニューをクリックしただけでエラー画面が表示されるケースもあった。
やったことは登録してから、機能名だけじゃ詳細わからないので、どんな機能なものか知るためにリンクをポチっただけ。

ブログで言うとブログの記事一覧ページをクリックするようなノリの行動だ。
うん、絶対まともにデバッグしていない。

この時点でヒトイスの活用は不可能だと、当初のワクワクは完全に掻き消えた。

ヒトイスはSNSよりGoogle検索に強いとは言えない

ヒトイスはその魅力としてサイト説明に下記情報が書かれている。

SNSはコミュニケーションツールですので、コンテンツは基本的に会話です。会話は時間とともに過去に流れていきます。フロー型と呼ばれる形式で、コンテンツ自体にアドレスが存在せず、次々に過去に流れていくため、検索エンジンにヒットしません。

対してヒトイスはコンテンツ単位にアドレスが存在しているため検索エンジンにかかる。
だからSNSより優秀だと解説されていた。
これは大きな誤りだ。

例えばTwitterはツイート単位できちんとURLが設定されている。
なのでたとえタイムラインから流れて消えても、Google検索にヒットする。

試しに適当なキーワードで画像検索をかけてみよう。
結構な割合で検索結果上位に、Twitterでツイートされた画像やイラストが引っかかる。
きちんとGoogleのクローラーに拾われている証拠だ。

ではヒトイスはどうかと言うと、確かにブログを更新すればコンテンツとしては個別にURLが付いて記事として残るため、Google検索に入る可能性はある

ただしそれはhitoisが管理するドメインが強ければの話だ。
少なくとも私はこれまでhitoisで書かれたブログ記事が、検索者の多いキーワードで上位に上がっているのを見かけたことはない。
どのブログサービスがSEOに強いかは、ブロガーではよくある話題だが、少なくともその候補にhitoisが挙がった試しはないだろう。

またブログ自体の機能性も微妙だ。
というより本当に必要最低限の機能しかなくやはり使い勝手は悪い。
これなら普通にレンタルブログなりWordpressを使用する。

しかも仮にhitoisブログの記事が検索にかかったとしても、他の媒体からRSSなどで引っ張ってきた情報は別だ。
文章や情報の一部だけ抜き出してきた情報なので、形式としては『NAVER まとめ』等のキュレーションサイトに近い。
ヒトイスにそれらのデータが投稿されても、本家より検索上位にくるのは難しいし、場合によってはコピーコンテンツ扱いを受ける可能性もあるだろう。
(『NAVER まとめ』のように強いサイトなら、冒頭の一部だけでも本家のブログより上位にくる可能性は結構あり、サイト誘導して有用なケースもある)

そしてヒトイスのアクティビティだって古いものはどんどん流されていくので、実のところ対して変わらない。
いや、Twitterはツイート内容を自由にまとめられるモーメントと、固定ツイート機能が実装されているので、タイムラインに流されても重要なツイートは目立つ位置において置ける。

しかもスレッド機能を活用すれば長文投稿もできるので、ブログ代わりにも使用できるし、そのように活用されているケースも実際に沢山ある。
検索と表示能力においては、あえてTwitterよりヒトイスを選択する理由は見当たらない。

機能性が向上すれば逆転の芽はある?

以上の理由から、私はあえてヒトイスを活用して集客をしたいとは、とてもじゃないが思えなかった。

しかし最初に言ったように個人をプロデュースするポータルサイトにSNS的な情報連携をするという発想は本当に面白いし素晴らしいと思う。
根本の着想や実装されている機能も魅力はあるのだが、如何せん中身が完全に時代遅れなのが最大の欠点だ。

もしヒトイスの運営や技術者に地べたを這い泥水を啜ってでも這い上がるガッツと執念があり、中身のUIと内部システムをガツガツバージョンアップさせていけたなら化ける可能性はあると思う。

現状自分の小説やブログのアクセスアップを期待してヒトイスの運用を考えている人は、noteを使うなりTwitterのアカウントを丁寧に育てた方が効果はあるという結論だ。

※追記 2018/10/18
Wordpressで連携情報が正しく取得できないバグは改善された。
開発者の方がhitoisに投稿した私の記事を読んで急ぎ修正した模様。
対応が早いのはとても良いことだと思う。