小説を書きたいけれど、どこから始めればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、私もよくやっている初心者向けに小説執筆の基本的な流れをわかりやすく解説します。
これらのステップを押さえれば、あなたも小説家への第一歩を踏み出せるはずです。
小説執筆の7つの基本ステップ
小説を書く上で押さえておくべき重要なポイントをまとめました。これらのステップを順番に進めていくことで、小説執筆の全体像が見えてくるでしょう。
- 魅力的なテーマ設定で読者を引き込む
- ログラインで物語の核心を100文字で表現
- キャラクター設定で個性豊かな登場人物を生み出す
- 世界観設定で物語の舞台を鮮明に描く
- プロット作成で物語の骨組みを組み立てる
- 起承転結を意識した展開で読者を飽きさせない
- 推敲と編集で作品を磨き上げる
これらのステップを順番に進めていくことで、小説執筆の全体像が見えてくるでしょう。それでは、各ステップについて詳しく見ていきましょう。
魅力的なテーマ設定で読者を引き込む
小説執筆の第一歩は、テーマ設定です。テーマとは、作品全体を通して伝えたいメッセージや主題のことを指します。例えば、「家族の絆」「成長と自己実現」「愛と犠牲」などが挙げられます。
テーマを決める際は、自分が強く関心を持っているトピックや、読者に伝えたい思いを中心に考えるとよいでしょう。また、社会問題や人間の普遍的な感情に関連したテーマを選ぶことで、より多くの読者の共感を得られる可能性が高まります。
テーマが決まったら、それに関連する要素や状況を具体的にイメージしていきます。例えば、「成長」をテーマにした場合、「高校生のバンド活動を通じた成長」や「挫折を乗り越えて夢を実現する主人公の成長」など、より具体的な設定を考えていきます。
魅力的なテーマ設定は、読者の興味を引き、作品全体の方向性を決定する重要な要素となります。時間をかけて慎重に選びましょう。
ログラインで物語の核心を100文字で表現
ログラインとは、物語の核心を約100文字程度で簡潔に表現したものです。これは、作品の骨格を明確にし、執筆中に物語の軸がブレないようにするための重要なツールとなります。
ログラインには、主人公の特徴、物語の舞台設定、主要な出来事、そして最終的な目標や結末を含めるようにしましょう。例えば、「何をやってもうまくいくがつまらない日常を送っていた高校生が、ロック音楽と出会い、初めての楽器に苦戦しながらも仲間と共に武道館公演を目指す成長物語」といった具合です。
ログラインを作成する際は、以下のテンプレートを参考にすると良いでしょう： 「（主人公の特徴）が、（きっかけや出来事）によって、（困難や障害）に直面しながら、（目標や願望）を達成しようとする物語」
このログラインを基に、物語の展開や登場人物の行動を考えていくことで、一貫性のある魅力的なストーリーを構築することができます。また、編集者や出版社にピッチを行う際にも、このログラインは非常に有用です。
キャラクター設定で個性豊かな登場人物を生み出す
魅力的なキャラクターは、読者を物語に引き込む重要な要素です。主人公はもちろん、サブキャラクターも含めて、それぞれに個性的で印象に残る設定を考えましょう。
キャラクター設定を行う際は、以下の点に注意を払うと良いでしょう：
1. 外見的特徴：
年齢、性別、髪型、服装など
2. 性格：
長所、短所、価値観、行動パターンなど
3. 背景：
家族構成、過去の経験、職業、特技など
4. 目標や願望：
キャラクターが達成したいこと、恐れていることなど
5. 人間関係：
他のキャラクターとの関係性、立場など
特に主人公については、テーマに沿った成長や変化を遂げられるような設定を心がけましょう。例えば、「成長」をテーマにした物語であれば、主人公の初期設定を「何をやってもうまくいくがつまらない日常を送っている」とし、そこから音楽との出会いを通じて変化していく様子を描くことができます。
また、キャラクター同士の関係性や対立構図も考慮に入れると、より深みのある物語を作ることができます。ライバルキャラクターや、主人公を支える仲間など、物語に必要な役割を果たすキャラクターを設定しましょう。
世界観設定で物語の舞台を鮮明に描く
世界観設定は、物語の舞台となる環境や背景を具体的に描き出す作業です。これにより、読者はより深く物語の世界に没入することができます。現実世界を舞台にする場合でも、ファンタジーや SF の世界を創造する場合でも、細部まで考え抜かれた世界観は作品の魅力を大きく高めます。
世界観を設定する際は、以下の要素を考慮しましょう：
1. 時代設定：
現代、過去、未来、または架空の時代
2. 地理的特徴：
国や都市の特徴、気候、地形など
3. 社会システム：
政治体制、経済状況、教育制度など
4. 文化的背景：
宗教、習慣、伝統、芸術など
5. 科学技術のレベル：
現実世界と同じか、より進んでいるか、または遅れているか
6. 特殊な要素：
魔法や超能力の存在、異星人との交流など（ファンタジーや SF の場合）
これらの要素を組み合わせて、独自の世界観を構築していきます。ただし、設定した世界観は物語全体を通して一貫性を保つことが重要です。矛盾のない世界観を作り上げることで、読者の没入感が高まり、より魅力的な作品となります。
また、世界観設定は物語の展開にも大きく影響します。例えば、厳しい階級社会を設定すれば、主人公の成長や目標達成により大きな障害が生まれ、ドラマチックな展開が期待できます。世界観と物語の展開を有機的に結びつけることで、より深みのある作品が生まれるでしょう。
プロット作成で物語の骨組みを組み立てる
プロットとは、物語の筋書きや展開を示す概要のことです。プロットを作成することで、物語全体の流れを把握し、効率的に執筆を進めることができます。また、物語の一貫性を保ち、読者を飽きさせない展開を考える上でも重要な役割を果たします。
プロット作成の手順は以下の通りです：
1. ログラインを基に、物語の主要な出来事をリストアップする
2. それらの出来事を時系列順に並べる
3. 各出来事の間を埋める細かな展開を考える
4. 全体を起承転結の構造に当てはめる
5. 必要に応じて調整や追加を行う
プロットは、作品全体を通して書く場合もあれば、区切りの良いところまで書いて執筆を進める場合もあります。自分のやりやすい方法を選びましょう。ただし、可能であれば最後までのプロットを作成してから執筆に入る方が、全体の整合性を保ちやすいでしょう。
プロットを作成する際は、各シーンや出来事が物語の展開にどのように寄与するかを常に意識してください。不必要な展開や冗長な描写は避け、テーマや主人公の成長に関連する要素を中心に構成することが大切です。
起承転結を意識した展開で読者を飽きさせない
起承転結は、日本の古典文学で用いられてきた物語構成の基本形式です。この構造を意識することで、読者を引き込み、飽きさせない展開を作ることができます。それぞれの要素について詳しく見ていきましょう。
起：
物語の導入部分です。主人公や世界観を紹介し、読者の興味を引きつけます。例えば、「高校受験に失敗し、滑り止めの高校に入学した主人公が、入学式の日に校内で迷子になる」といった具合です。
承：
物語が展開していく部分です。主人公が新しい環境や状況に直面し、行動を起こし始めます。「廊下の先から聞こえてくる音楽に惹かれ、軽音楽部の部室を覗く主人公。そこで見た先輩たちの演奏に心を奪われる」といった展開が考えられます。
転：
物語の転換点となる部分です。主人公が大きな障害や課題に直面し、それを乗り越えようとします。「楽器の演奏に苦戦する主人公。しかし、仲間たちと励まし合いながら練習を重ね、少しずつ上達していく」といった展開が転にあたります。
結：
物語の結末部分です。主人公の成長や変化、目標の達成（または失敗）が描かれます。「懸命な努力の末、ついに地域の音楽フェスティバルに出場。観客を魅了する演奏を披露し、さらなる高みを目指す決意を固める主人公たち」といった形で締めくくることができます。
この起承転結の構造を意識しながらプロットを組み立てることで、読者を飽きさせない魅力的な展開を作り出すことができます。ただし、必ずしもこの順序通りである必要はなく、物語の内容に応じて柔軟に調整することも大切です。
小説執筆の基本ステップを押さえて、あなたの物語を紡ぎ出そう
小説執筆は、一見すると難しそうに感じるかもしれません。
しかし、この記事で紹介した7つの基本ステップを順に進めていけば、初心者でも小説を書き上げることができます。
まずはテーマを決め、ログラインを作成することから始めましょう。そして、キャラクターや世界観の設定を行い、プロットを組み立てていきます。起承転結を意識しながら物語を展開させ、最後に推敲と編集を行うことで、あなたの物語は完成に近づきます。
大切なのは、自分の想像力を最大限に活かし、読者に伝えたいメッセージを明確にすることです。また、執筆の過程を楽しむことも忘れないでください。試行錯誤を重ねながら、少しずつ自分の作品を形にしていく喜びを味わってください。
これらのステップを踏まえつつ、自分なりのアプローチを見つけていくことで、あなただけの独自の物語が生まれるはずです。
