地の文に何を書けばいいのかわからない。
書いてもワンパターンになる。

これらは特に小説を書き始めた初心者に多い。
しかし私が書いていても時々、何か足りない。付け加えたいけど何を加えればいいだろう? と思う時はある。

そういう時、私が行っている解消方法を紹介する。

簡素な地の文から順番に肉付けを行う

STEP1. 基礎となるごく簡単な地の文を入れる

「あ、流れ星だよ!」 彼女は言った。

「願いごと……する暇もなかったね」

僕はそう返した。

地の文がワンパターンになる人の症例だと、文章の内容自体が乏しいことが多い。
逆に言えば乏しいから同じ様になってしまうのだ。

なので、順を追って文章を肉付けしていく。
まずは地の文が必要なところに、ごくごく簡単な地の文を入れる。
ここから肉付けしていくので、この段階ではワンパターン等は考えなくていい。

STEP2. 動作描写を入れる

「あ、流れ星だよ!」 彼女は腕を伸ばして夜空を指差し言った。

「願いごと……する暇もなかったね」

僕は彼女と一緒に空を見上げながらそう返した。

次にキャラクターの動作描写を入れる。
例文だと流れ星を見つけたというシチュエーションなので、見つけた時に『彼女』がどうするかの動作。
そしてそれに対する『僕』の反応についてを書き加えた。

この時、キャラクターの性格や感情から行動を考えると文章を入れやすい。
『彼女』は元気な女の子というイメージで、見つけたことを主張するように腕を伸ばしている。
対する『僕』は台詞からも少し大人しめな性格として、顔だけを上げて返事させた。

これだけで地の文がワンパターン化することを防ぐことも可能だ。
ただ、人は無意識に同じ様な表現を繰り返し書くことがある。
毎回キャラクターが同じ様な動作ばかりになってないかには気を付けよう。

STEP3. 情景描写を入れる

「あ、流れ星だよ!」 彼女は腕を伸ばして、雲一つない夜空を指差し言った。
けれど夜闇に光走る星は、指が示すより早く一瞬で消えてしまう。

「願いごと……する暇もなかったね」

僕は彼女と一緒に空を見上げながらそう返した。

次に情景描写を書き込んだ。
行動がはっきりしていれば、そのキャラクターの視界に入っているものもわかりやすい。
『何を書けばいいのかわからない』という状況を防ぐことが可能だ。

情景がメインのシーンでないなら、ここではそこまで多くの文章を入れる必要はない
例えば『夜空にはたくさんの星が輝いている』とか、『綺麗な月が浮かんでいる』などを書き加えることも可能だろう。

しかし、そうすると読者の意識から『流れ星』という重要な要素の印象が弱くなってしまう
強調したいものを意識して入れるようにしよう。

STEP4. 感情(またはそれを示す様子)を入れる

「あ、流れ星だよ!」 彼女は感動で目を輝かせながら、腕を伸ばして夜空を指差し叫んだ。
けれど夜闇に光走る星は、指が示すより早く一瞬で消えてしまう。

「願いごと……する暇もなかったね」

僕は彼女と一緒に夜空見上げながらそう返した。
言葉とは裏腹に彼女と同じ景色を共有していると実感できて、嬉しさで僕の胸は高まっている。

最後にキャラクターの心情を表す表現を足す。
これを最後に持ってきたのは、行動と情景を決めたらその時にキャラクターが思っていることがわかりやすくなるためだ。

腕を伸ばしてはしゃいでいるので、目をキラキラさせて喜びを表現。
また『言った』という表現はありきたりで、『僕』の『返した』とも表現的に近い。
ここはより感情を強めてわかりやすくするため『叫んだ』に変える。

だが今度は感情表現を足したことで、文章の飾りが多くなってしまった。
もし心情と情景が被ってぶつかってしまう場合は、必要な方を残そう。

今回だと、『彼女』が流れ星を見て喜んでいるという情報の方が、夜空の情景よりも重要度が高いと判断して雲の描写をカットした。
流れ星を見つけてはしゃいでいる姿を強調させた形だ。
これも見せたいものを優先して取捨選択すればいい。

『僕』についても感情面を追加する。
これは『僕』を視点にした一人称なので、より感情をダイレクトに表現している。

感情なしだと一見流れ星を見てガッカリしているようにも見えるが、感情を足すことにより彼女と二人で過ごして喜んでいることがわかった

心情を足すことで、文章の印象を大きく変えることができる。
結果、読み手にワンパターンな印象を与えにくくなる。

全体の流れを見て調整する

何を『書けばいいかわらない』や『どう書けばいいかわからない』の場合、このように段階を踏んで入れるべき表現を足すこと。
この形式にすれば、格段に文章は作りやすくなる

最初は面倒くさく感じるかもしれないが、慣れれば自然と迷わず書けるようになってくるだろう。
一時的に文章が浮かんでこない時も内容を整理するのに使える方法だ。

しかし必ずしも毎回情景や感情の表現を文章に取り入れる必要はない
情景は繰り返し書くとしつこくなるし、一文が長く濃くなってくると全体のテンポも悪くなる

なので場合によってはステップ2や3は飛ばしても構わない。
その場面毎に見せたいものを表現することを大切にしよう。

また、ここまでの説明は一文単位での表現だ。
一場面(投降サイトなら一ページ単位でも可)を書ききったら、全体のバランスを整える必要がある。

全体的に長い地の文が続いていたら、その文章は本当に必要かどうかを考えよう。
もし絶対に必要ならばそれで良し。
そうでもないなら、あえて部分的に短くしたり表現を削ってう。
こうすることで読む側のテンポが一定ではなくなり、ダラダラとした文章になるのを防げる

もう一つ、文章の文末を調整する。
文章の末尾が『~~た。』や『~る。』で連続して終わっていないか。
また、それらの一定の組み合わせが連続で続いていないかも注意しよう。

同じような文末の繰り返しが続くと、それだけで読む側はテンポが同じになり単調な表現に感じる
他にも『である。』や『のだ。』といった特徴的な文末が高頻度で書かれるのも同様の読感になりやすい。

ワンパターンに感じる文章とは、単調な文章や同じような表現の繰り返し時によって起きる。
一文と全体、二つの構成を気にして文章を作っていこう。
そうしればパターン化している文章を見つけやすくなり、都度修正をかけられるようになるはずだ。