著作権侵害などそちらの話を除けば、小説での二次創作とオリジナル作品における最初の違いは着想とテーマである。

特に原作ありきの作品だとオリジナルとは異なる着想から入ることが多い。
またテーマが必要かどうか、またその重要性もオリジナルとは少し異なってくると私は考える。

二次創作はテーマより先に着想がある

二次創作は元々あるオリジナル作品に手を加えることで、原作にはないIFの世界を作り上げていく。
当然ながら、二次創作の執筆はそれが絶対的な前提条件になる。

ここで最初に重要なのはどう手を加えるのか、という部分である。
例えば、二次創作では原作で死亡したキャラを救済するという展開が多い。
これは原作では不幸だったキャラ幸せにしたい!
という読者の想いがあるために生じやすい展開だ。

そして『本編で死亡した○○というキャラを救う』が二次創作ならば作品の着想となる。
もっというなら、この手の救済系は死亡するキャラが必要になるため、オリジナルキャラクターを投入するケースが非常に多い。
そしてそういうキャラは物語上の主軸となるため、そのオリキャラはほぼ主人公だ。

となれば『オリ主が死ぬはずだった○○を救う物語』になる。
まずこういう着想が無ければ二次創作は存在し得ない。
二次創作においては作品のテーマより先に着想があるという流れが基本となる。

これがたとえオリジナルキャラの伴わないものでも、基本的な流れは変わらない。
クロスオーバー作品だと二つ以上の作品をどう絡ませ合うのかを最初に決める。

知名度の高い作品でいえば、『ワンピース』のルフィと『東方Project』の博麗霊夢が戦うとしよう。
この時点で『ルフィと霊夢が戦うとどうなるか』が着想となり、そこから話を膨らませていく。

原作の改変にテーマは必要か

二次創作において着想が先に来るとは言っても、テーマが不要というわけではない。
着想がよっぽど希少でない限り、似たような作品は山程作られる。

二次創作が多く作られる作品は、近年に流行った作品、また二次創作しやすい作品が選ばれやすい。
要するに大抵の場合は、皆流行りに乗っかり同じ作品に手を出すのだ。
それが悪いわけではない。
人気作品の方が読者の分母数も多いし、自分の作品を多くの人に読んでほしいと思うのは物作りの原動力である。

だが、先に挙げたような救済系はたださえ書かれやすい。
そこで人気作ともなれば、圧倒的な作品数のため高確率で埋もれてしまうだろう。

埋もれず突出した作品を作るなら、他に書いているライバルの少ない着想からストーリーを構想することが重要だ。
同じような着想が多い作品で勝負するなら、しっかりとストーリーを構成して中身を煮詰めていく必要がある。
その場合、ストーリーの骨子となるのがテーマだ。

テーマがあやふやな作品は、作者の書きたいものが見えつらく『これも他の作品と似たようなもんでしょ』という扱いを受けてしまいやすい。

逆に作品としてのテーマがしっかりとできていれば、それがオリジナリティとなり他の作品との差別化が図れる。
オリジナリティとは独創性だけでなく、しっかりと物語を作ることでも生まれるものなのだ。
つまりクオリティを上げて他の作品にはない魅力をもたせたいなら、必然的に物語のテーマ性は必要になってくると言えるだろう。

ただし二次創作の場合、話の構成が独創的過ぎると元作品との乖離が激しくなってしまう。
原作の雰囲気を完全に壊してしまうと、それはそれで『原作レイプ』の扱いを受けるので注意しよう。