仮面ライダー × FGO クロスオーバーSS(二次創作小説)

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 カルデアの一向はパツシィの情報を元に反乱軍のアジトへと向かう。
 道中にさしたる問題は起きなかったが、その途中に経由した村で一悶着起きた。

 そこは叛逆軍のアジトへ向かうには避けて通れぬ場所に位置している。
 そして、この村の警備を担当する者に立香達は呼び止められた。

 彼らは叛逆軍へ参加しようとする者達に対して、ここを通ることを黙認する代わりに、通行料と称した対価を要求して稼いでいる。
 しかし今の立香達に支払えるものはない。
 そこへ話を付けるため、一歩前へ出たのが士だった。

「なら、この俺がお前達の写真を撮ってやろう。ありがたく思え」

 なぜか上から目線で告げた士は、了承を得るよりも先に首から下げているマゼンタカラーのトイカメラでシャッターを切る。

「お前らのところで写真の現像はできるか?」

「どうして撮ってから聞いたの?」

「いつもの癖だ。気にするな」

 つまり撮ってから環境が変わって現像できないことに気がついたらしい。
 彼は旅人であると同時に写真家なのだろうと立香は理解しておくことにした。

『うーん、必要ならできなくはないけど、一旦こっちに戻ってもらわないとなあ』

『それより、Mr.カドヤの撮影技術がいかに芸術的であったとしても、写真で向こうが納得してくれるとは思えないのだがね』

「何やってるんだ、お前?」

 写真を取られたヤガは怪訝そうに首を傾げている。
 あー、もしかして、と立香はある事実に気付く。

「ねえパツシィさん。この世界ってカメラある?」

「カメラ? なんだそりゃ?」

「あったとしても、時代的に士さんのような小型で近代的なカメラは存在していないと思います」

 マシュがいつものようにさり気なく補足をしてくれる。
 残念ながら写真撮影の技術は適応の過程で置き去りになったロストテクノロジーのようだ。

「おい、出すのか、出さないのか。どっちだ?」

「悪いが、こっちには持ち合わせがない」

 しびれを切らした守衛のヤガが問うてくるのを、士が返した。

「だったら金じゃなくても、代わりがあればそれでもいいぜ」

 写真を代わりにしようとして失敗したくらいだ。
 別の持ち合わせもこちらにはない。

「クレジットカードは作らない主義だ」

「クレジットカードも使えないと思う……」

 間違いなくそういう意味じゃない。
 士もわかって言っているのだろう。やれやれと肩をすくめる。

「ならどうする?」

「逃げよう。できるだけ穏便に!」

 そもそも、こちらは支払わないなら通報すると脅されている身だ。
 無理をしてまで要求に従う必要はない。

「やれやれだ。変身」

 士はカードを取り出して、かけ声と共に変身する。

「なんだお前、うわ!」

 ディケイドへと変ると、素早い身のこなしで守衛のヤガから弓を取りあげて破壊した。

「よし、逃げるぞ」

 士が告げると、目の間に揺らめくような壁が出現した。
 抜けてくるように無人のバイク――マシンディケイダーが出現する。

「マシュ、お前は後ろに乗れ」

「……はい。失礼します」

 サーヴァントにならない状態だとマシュの身体能力は立香よりも低い。
 運転はバイクを出した士で、彼女が後ろに乗るのは必要な措置だろう。

「俺達はどうすんだよ!」

 守衛のヤガは逃げていったが、あれは仲間を呼んですぐ戻ってくるはずだ。
 逃げ切る足は他にあるのかという意味でパツシィが問う。士は明瞭簡潔に答えた。

「走れ」

「ですよね!」

 なんとなく答えを察していた立香は、その言葉と共に駆け出した。
 パツシィは逃げながら「おいおいマジかよ」と愚痴っているが、立香は必死の表情ではあるものの、どこか落ち着いてもいる。
 手と気を抜かなければ、この場はこなせると確信している者の顔だ

 ヘラクレスを誘導するための逃走劇など、これまでもっと危険な状況での逃走劇は何度もあった。
 今さらこの程度でパニックになりはしない。

 士もスピードは出さず一方的に置いていくような真似はせず、立香の様子を観察しながらスピードを調節していた。
 やはり村のヤガ達が何人も出てきたが、弓を構えるより先にライドブッカーのガンモードで彼らの足元を撃ち威嚇する。
 相手が躊躇っている間に、立香達は距離を広げて逃げ切った。

「ぜぇ……ぜぇ……なんとか、逃げ切れたみたいだね」

「それよりなんだよ、その乗り物は」

 モーターバイクなんて、それこそ近代も近代の産物だ。パツシィが知っているはずもない。

じゃよくある乗り物だ」

「そんなのが当たり前にあるのかよ……」

「でも、このバイクどこから出したの?」

「さあな。前から俺が使ってるバイクだが、こんな時にあれば便利だと思ったら出てきただけだ」

 変身を解除した士が、小首をかしげながら応えた。
 どうやらバイクの呼び出しは本人も感覚的にやったらしい。

『たぶん宝具の一種じゃないかな。ライダークラスだし、英霊としてはどうかと思うけど、近代ならバイクが出てもおかしくはないかも。前例もあるしね』

 カルデアでも一人、バイクを宝具として扱うサーヴァントはいる。当人は決して近代の人物ではないのだが。

「とにかく、先を急ぐぞ。ここからはまた歩きだ」

 そういうと再び揺らぐ壁が出現してバイクは消えていった。
 仮面ライダー。その名が示す通り、門矢士の霊基はライダーのサーヴァントとして現界している。

 彼らにとってバイクは基本武装の一つであり、自分達の存在を示す物の一つ。
 それが宝具の一つとして具現化するのはさほど驚くことではないのだろう。
 それは彼の愛機もまた、共に旅する相棒としてここにあるということだった。

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