仮面ライダー × FGO クロスオーバーSS(二次創作小説)

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 広大な白い大地で二つの陣営が激戦を繰り広げていた。

 片や藤丸立香をマスターとした歴史を創った英雄、サーヴァントの軍勢。

 片や門矢士を中心に据えた歴戦の勇士、仮面ライダーの軍勢。

 邪竜を墜とした白い長髪の英霊が、竜殺しの力をもって突撃する。
 鏡世界に生きる黒い騎士がカードを装填すると、龍の尾を象った青龍刀がその手に収まった。
 刃と刃がぶつかり合い火花を散らす。
 竜殺しの英雄がその名を冠する宝具を解放すると、龍の騎士は契約を交わした黒龍を喚び出して、かの伝説に挑む。

 二人組の女海賊が見事なコンビネーションを発揮する。
 その隙と無駄のない連携は、命懸けの航海で磨き抜かれた、まさに二人で一人のサーヴァントだった。
 されど彼女達と戦うのは、文字通りに心と体を一つにした探偵達。
 時に風をまとった蹴りで、時に敵を追尾する弾丸で、二つの記憶の力によって適切に対処する。

 華美な衣装に身を包む天下無双の二刀流は、まるで天元に舞う花のように美しい。
 華麗にして苛烈。流麗にして泥臭い。人斬りの技。
 負けじと刀を振るうは、果物をモチーフにした派手な鎧を纏った鎧武者だった。
 理不尽に抗い救うため成長してきた活人剣が、最強剣士の代名詞と切り結ぶ。

 征服王が指揮する軍勢が侵略の活路を拓く。我が王を敬い命を捧げる精鋭達だ。
 それを量産されたトルーパーが食い止める。現代に通ずる軍隊の力だった。
 激突の中心で愛馬に騎乗し果無き夢を追う王と、愛機に騎乗する夢の護り手が相対していた。

 神速の英雄は誰よりも早く戦場を駆け抜ける。
 天の道を往く男は時間流さえも操り、神の領域に突入してみせた。
 彼らはもはや視認さえ困難な程に濃縮された時の中でせめぎ合う。

 二体の鬼は欲望のままに暴れ、炎が上がり、骨をも蕩かす。
 人という種とは決して相容れぬ、まさに魔性の悪鬼達。
 対する戦士達もまた鬼であった。
 鍛錬により己が肉体を人外に昇華した赤と青の鬼。
 人を護る清めの鬼が、音撃にて迫る魔を払う。

 魔性を切り裂くことこそ、我が使命にして存在意義。
 されど同時に、己の半身に強大な魔性を宿す矛盾した女侍が、彼女の名の通りに雷の飛び散る刃を振り下ろす。
 その一太刀に蹴りを打ち込み弾き返すは、人の生命力を吸い殺す魔性と人のハーフ。
 名に牙を宿し、されど魔性と人の仲を取り持つことを望んだ心優しき青年だった。

 女侍の傍らには、かつて彼女を大将と呼び慕った漢が一人。
 金色に輝く巨大なまさかりを、怪力によって縦横無尽に振り回す。
 時の守護者は、そうはいかぬと熊のように豪快な金の魔人をその身に下ろし、力と斧で迎え撃つ。

 己を鍵として、宇宙の悍ましき邪悪を少女は喚び出す。
 その背後に大量の触手が生じて、獲物を絡みとらんと伸びる。
 しかしそれらは空を切った。
 たとえ戦場でも、白き戦士は手に装着したロケットで、身も心も自由自在に飛び回る。

 百の貌を持つ暗殺者。単騎の力では他者に劣ろうとも、その意志を総動員して数を武器に襲いかかる。
 それを前にした緑の戦士が銃にカードを装填すると、同じく緑色で巨体のモンスターが出現。
 銃を差し込み引き金を引くと、内蔵された武装が一気に解き放たれた。

 エジプトを支配したファラオ達の中でも、最も偉大な功績を誇る神王。
 彼の圧倒的な魔力がピラミッドと化し、今まさに一人の戦士を押し潰した。
 一つの戦いが終わる。それと同時に神王の背後に土管が出現。
 九十九の命を一つ減らした電子世界の神が、高笑いと共に第二ラウンドを開始した。

 誇り高き青の騎士王が、勝利を約束された剣を構え駆ける。
 その先にいるのは己の身を切札ジョーカーに変え、キングと融合した青き剣士。

 二人の黄金剣がぶつかり合い、されどどちらも退かない。
 ならばと彼女らは秘めたる力を開放する。

『スペード10、スペードジャック、スペードクイーン、スペードキング、スペードエース』

「エクス――――」

『ロイヤルストレートフラッシュ』

「カリバァ――!!」

 拡大していく戦場。
 次々と上がる爆音と黒煙。
 激化の一途を辿る闘争の中心に、彼らはいた。

 誰よりも信頼するマスターを背後に、デミ・サーヴァントの少女は立つ。
 永く険しい旅を経て、彼女の盾は、大切な人を、大切な想いを、護り切る。歴史の守護者と成った。

 彼女に立ちはだかるのは真逆の運命を背負った旅人だった。
 世界の破壊者と呼ばれし者。
 全てを壊し、全てを繋いだ彼は、壊す間もなく終わった歴史を踏みしめる。

 全て破壊し繋ぐ者。
 歴史を終わらせず護り抜く者。

 二人は戦う。旅の中で見つけてきた己の信念を貫いて。

 そして戦地より離れた一角。
 二つの意思がぶつかり合う姿を、神秘を宿す青き人外の女が、ただ静かに眺めていた――


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