くあたんノベルズ

ネット世界の片隅で小説書いたり語ったりする

「マイナスの使い魔」の記事一覧

マイナスの使い魔 第三十一敗『虚無だなんて!』

 長い黒髪に漆黒のマントと陰湿さを漂わせる暗い顔付きの男、ミスタ・ギトーは教室の中でも生徒達からの人気は取り分け低い男である。 「全員揃っているな。では授業を始める。君らも知っての通り、私の二つ名は『疾風』。疾風のギトー […]

マイナスの使い魔 第三十敗『たった一人の人外だよ』

 フーケは場末の酒場で一杯やっていた己の油断を恥じた。  ガヤガヤと酒を帯びた男達の騒ぎ声がやかましい。こんな場所に若い女が一人呑みなぞしていると、酌をさせあわよくばそのまま宿に連れ込もうとする輩がよく現れる。  彼女は […]

マイナスの使い魔 第二十九敗『お話にならない』

 穏やかな水面に太陽の光が反射しきらめく。うららかな午後の陽射しが心地よい小舟の中。  けれども差し込む光さえ拒否するように、その中で縮こまって丸くなっている少女がいる。彼女――ルイズの心には大雨が降っていた。  今の彼 […]

マイナスの使い魔 第二十八敗『今日から僕達が』

 それがよもや、こんなことだったとは。  ルイズを殺さない程度に痛めつけて動けないようにする。  そこへ禊が現れてフーケを捕まえる芝居をしながら逆に逃走させ、あのプライドの高い貴族を自分側に引き込む。というのが禊の算段だ […]

マイナスの使い魔 第二十七敗『人間は人間だよ?』

 今やトリステイン学院では知らぬ者がいない希代の大盗賊フーケの潜伏場所は、しかしその学院から十分とかからない小さな林の中だった。  日は陰り夕闇で視界は悪くなっている時間帯ではあるが、それがどれだけ危険な行為であるかの問 […]

マイナスの使い魔 第二十六敗『元の世界に戻りたい』

 ルイズの一撃で上半身が大きく消し飛んだゴーレムは、しかし歩みを止めない。  さらにタバサからエア・ハンマーの直撃を受け、残った下半身を木に打ち付けられる。ぶつかった衝撃で体が弾けてべっとりと泥の跡が木にこびりつけせて、 […]

マイナスの使い魔 第二十五敗「わたしの人生は」

 キュルケが怒り心頭で、感情に任せて禊を怒鳴りつける。いつもの自信に満ちて余裕を見せる彼女の姿は微塵もなかった。 「ふざけたこと言ってるんじゃないわよ!」  こんなキュルケは初めて見る。フーケの追跡だって最初に志願したの […]

マイナスの使い魔 第二十四敗『白状するよ』

 安心院さんって誰よ? なんて、無駄な問答を交わす余裕もキュルケからは消え去っている。辛うじて『さっさと説明なさいな』という視線を送り、続きを促すのがやっとだ。 『僕の言う通り、破壊の杖を操作してね』  どうして禊がこれ […]

マイナスの使い魔 第二十三敗『安心院さんの言葉を』

 馬車は薄暗い森の中で止まり、そこからは徒歩で目的地を目指すことになった。  その道中、ルイズは何とはなしに、昔家族で森にピクニックへやって来たことを思い出していた。  珍しく家族全員が揃っていたことと、その後一人で森の […]

マイナスの使い魔 第二十二敗『僕が行かねば誰が行く』

 禊と関わるようになって教師に囲まれることが増えたわね、とルイズは思っていた。  禊がトリステイン学院へ盗賊が襲撃したことを報告し現場はまさに大混乱となり、夜が明けてすぐ事件に関わった生徒達への事情聴取が行われたのだ。 […]